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「ある男/平野啓一郎」書評 「分人主義」

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こんにちは。スギちゃんです。
 
Amazon Kindleの新刊で紹介されたいた「ある男/平野啓一郎」を購入し読みました。
 
感想を一言で言うなら、「これがあれば秋の夜長に退屈しません!」ですね。^^
面白くて今日の午前中に一気に読みきってしまいました!
中だるみすることなく最後まで読ませる構成になっているので、ぜひ手にとって読んでみてください
 
私はamazonのKindleで読みました。電子書籍もオススメですよ!
ある男

ある男

 
本記事の内容には一部ネタバレも含まれていますので、未読了の方はお気をつけください。
 
目次

語のあらすじ 

物語のはじまりの舞台は、宮崎県の過疎化が進む街S市。
寂れた商店街で父親の死去を元に譲り受けた文具店を営む、バツイチ子持ちの里枝。
里枝はある日店に訪れた青年、谷口大祐と恋に落ち結婚をする。
しかし結婚から4年、谷口大祐は仕事中の事故で亡くなってしまう。
里枝は大祐の生前から「実家の家族には連絡しないように」と言われていたが、一周忌を機に大祐の実家に連絡してしまう。
焼香に訪れた大祐の兄、谷口恭一は墓前の遺影を見て「…どなたですか?」と言う。
里枝が谷口大祐だと思っていた人物は、実は谷口大祐ではなく謎の人物”X”だった。
里枝が以前お世話になった弁護士「城戸さん」が事の真相を追求していく。
人の過去、愛、アイデンティティの根幹を考えさせる物語。
 

直な感想 

「序」からいきなり、作者が実物の「城戸さん」に会ったところから物語は進行します。
バーでの 城戸さんの自己紹介は、名前も経歴も全て嘘を語っていました、
物語はそんな城戸さんを主人公に勧められていきます。
ここでいきなり作者と主人公の城戸さんが重なり、私は同一人物かの錯覚に陥ります。
そんな不思議な幕開けで物語はスタートしますが、物語のあらすじでも書いたように冒頭で多くのページを割いて語られた「谷口大祐」が実は謎の人物”X"だったと言うミステリーな展開になります。
ここで私は物語にグッと引き込まれてしまいました。

タバレ

※※※※ここからネタバレも含みます※※※※ 

己の分裂と分人という考え方

自分の過去を消したい人、新しい未来を創っていきたい人が、自分の過去を交換する「戸籍交換」が行われた時、人は新しい「自分」を創っていけるのか。
戸籍交換をした人を愛した人は、一体誰を愛していたのか。
そんなことがテーマになっていると思います。
また購入してから知ったんですが、作者である平野啓一郎さんは「分人主義」と言う考えを主張されています。
どんな人も立場や相手によって様々な”顔”を持っていて、その全てが”本当の自分”であり、個人の個性とはその複数抱えている分人の構成比率のことである、と言う考え方です。
私も、自分が抱えている環境の数だけ”本当の自分”がいて、それをできるだけ一つにまとめたい、と少年時代から思っていました。
もちろんそんなことはできるはずもなくて、「いろいろな”顔”を持っている自分」=「嘘つきな自分」と自己否定をしている時期がありました。
しかし文人主義では、そんないろいろな”顔”も含めて、本当の自分であるとまとめられていて、納得しつつホッした気持ちになりました。
 

去は消せない、別名保存されているということ

複数の登場人物は、戸籍交換によって様々な過去を背負って生きていくことになります。
宮崎県S市で亡くなった谷口大祐”X”は、原誠として生を受けて、のちに曽根崎義彦として生き、谷口大祐として命を落とします。
彼らは過去と決別するために戸籍交換を行っていきますが、その都度いろいろな”顔”を持つ自分(文人)を増やしていくことになります。
谷口大祐”X”も、新しい人生を送るために宮崎県S市で谷口大祐の過去を共有することで新しい生活を模索しますが、我が子への接し方など、結局は過去の自分の経験(特に父親からの虐待)を捨てることができず、父親を反面教師として暴力を振るわない良い父として子ども接していきます。
それはどれだけ捨てたいと思っている過去も絶対に捨てられない、離れようと思えば思うほど過去の自分の経験が自分のそばにやってくる矛盾を孕んでいるのだと感じました。
それはまるで、ファイルを上書きするのではなく、そしてゴミ箱に捨てることできずに、まるで別名で保存していくかのように、経験とともに分人は増えていくんですね。

殊性と一般性の比較

主人公の「城戸さん」も様々な”自分”を持っています。
弁護士としての自分、本当の谷口大祐の元カノに好かれる自分、りえに「いい人」と言われる自分、セックスレスで冷めきった夫婦関係の自分。
前述の戸籍交換をした特殊な人たちと対比して、「城戸さん」は私たちと同じ普通の人の視点で描かれています。
そんな普通の人である「城戸さん」もいくつもの文人を抱えていて、それぞれの分人の間で揺れ動く心模様も描かれています。
特殊な事情を抱える戸籍交換をした人たちと、一般人の城戸さんの対比もしっかりと描かれていました。 

族というアイデンティティ(分人)

また「城戸さん」は在日3世である過去も持っており、自分の経験としての分人だけでなく、朝鮮人としての分人も内包しています。
城戸さんは帰化して日本国籍も取得していますが、それでも朝鮮人としてのアイデンティティ(分人)を抱えているのです。
物語の中ではヘイトスピーチを題材に社会問題も描かれていましたg、個人的思想をここで述べることはやめておきます。 

後に

物語には複数の魅力的な女性も登場します。
城戸さんとのラブロマンスがあるかなぁ〜と期待しながら読み進めましたが、我々一般人代表の城戸さんですから、そんなことはありませんでしたね。笑
Amazonでふと見かけて読み始めた「ある男」でしたがいい読書体験ができました。
ぜひあなたも「ある男」を手にとって読んで欲しいと思います^^ 

あまりにも面白くて、読んでた村上春樹「国境の南、太陽の西」をほったらかして読み上げてしまいました^^
 
 
紙の本で読むのも楽しいですが、電子書籍はどこででも読めるのでオススメですよ!
私はアマゾンのサービスKindleで読みました。
ある男

ある男

 
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